紙芝居 むかしもいまも これからも
2021年4月26日~2021年5月2日放送
山形放送 報道制作局 庄司紫乃
【番組概要】
山形県の北西部・日本海に面した地域を庄内地方と言います。庄内地方は日本有数の米所で、北前船の寄港地として栄えた港町・酒田市もその一部です。酒田市出身の紙芝居師・米田佐之助さん(60歳)は、元・小学校教師。定年を前に教職を辞めて、紙芝居師に転身して4年が経ちます。きっかけは偶然の出会いでした。コロナ禍で披露の機会が減る今ですが、地域の魅力を紙芝居で未来へ残したいという新たな取り組みが始まっています。
【制作意図】
昔の民話が現代に伝わっているように、現代で生まれた紙芝居のストーリーがいつか地域の民話になる-そんな予感にワクワクしたことがきっかけです。また、大好きな庄内弁を素敵な「音」として残したいという思いもあります。私は山形県・庄内地方の情報番組を5年ほど担当していまして、いわゆる「庄内弁」を話す様々な方々と接してきました。ひとくちに「庄内弁」と言っても城下町、港町、農耕地域と風土によって、また人によっても違います。米さんの喋る方言は、港町・酒田市ならではの明るく闊達な印象、そして元・先生ならではの優しさを伴っているように感じます。米さんは 「紙芝居をしていると、隣の人が笑うと、また隣の人も笑う。そうしているうちにお客さん同士も友達になっている。そんな時間が生まれることが幸せだ。」と話します。紙芝居の合間に繰り出される庄内弁はお客さんがいるからこそ。米さんとお客さんとのコミュニケーションの賜物かと思います。途中、意味がわからない言葉もあったかもしれませんが、地域のあたたかみを感じとっていただけたら幸いです。ちなみに「佐之助の母ちゃん!この間はデゴヅケもっけだっけの~!」は、「佐之助さんの奥さん!先日は大根漬けありがとうね~!」という意味です。
【制作後記】
冒頭の「怪人伝説」は、米さんが弟子入りした際に、師匠から最初の手引きとして授かった作品なんだそうです。師匠が作った、オリジナルの紙芝居-米さんは御守のように大切にしています。米さんの師匠は、「ヤッサン」という愛称で親しまれた伝説の紙芝居師・安野侑志さん。酒田市のお隣:鶴岡市のご出身で、偶然の出会いはそうしたご縁もあったようです。♪カンカンカン…♪と鳴らしている楽器は、クラベスと言います。勤務先だった学校の音楽室で出会った楽器で、拍子木よりも軽やかな音色が気に入って愛用しているそうです。後半に紙芝居づくりの依頼主として登場する内藤小容子さんと長船裕紀さん。米さんを知ったきっかけはYOU TUBEだったそうです。山形の自然に魅力を感じて根付いたおふたりは、地元の子供達に自然について教える機会も多く、展示や説明で終わらず物事を一緒に考え「伝える」、そのために紙芝居というツールが素晴らしいと感じたそうです。そして地元の方言で米さんに語って貰いたい-そんな思いから今回のコラボが生まれました。紙芝居はお客さんのリアクションに応じてアップデートしていくのだとか…今秋の完成、その後がとても楽しみです。
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