震災10年・帰れない故郷を思う『大堀相馬焼』
2021年2月22日~2021年2月28日放送
ラジオ福島 編成局放送部 森本庸平
【番組概要】
福島県浜通り・浪江町の「大堀(おおぼり)相馬焼」は、江戸時代から続く伝統工芸です。ひび割れや二重焼、馬の絵などの特徴は、全国的にも珍しく、地元で親しまれてきました。東日本大震災と原発事故で、窯があった大堀地区は避難区域となり、10年経った今も、放射線量が高く、住むことができません。各地に避難・移転して多くの窯が再開する中、唯一の女性窯元として、避難先で創作を続ける近藤京子さんの故郷と伝統への思いに迫ります。
【制作意図】
大堀相馬焼が焼き上がり、窯が開いた瞬間、まるでオルゴールのような神秘的な音が鳴り響きます。特徴の1つである「ひび割れ」のひびが入る音で、原発事故の後、場所は変わっても、その音が聞こえなくなることはありませんでした。ぜひ全国の皆さんに、大堀相馬焼が生み出す独特の音色を届けたいと思い、取材に出かけました。
【制作後記】
大堀相馬焼そのものは知っていましたが、伝統的な特徴を持った作品だけでなく、コーヒーカップやランプシェードなど現代風にアレンジしたものもたくさんあったことに驚きました。近藤さんが、故郷への思いを語りつつ、「大堀でなくても、今の場所で伝統をつなぐことが大堀相馬焼」と語っていた姿に、近藤さんの葛藤と使命感を感じました。
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