« 犬は湊で願かけ廻り、人は神社で何想う | メイン | 春を待ちわびて~福島の伝統行事~ »

2018年4月 2日 (月)

世界遺産をPR 御神犬 すずひめ号

2018年3月12日~2018年3月18日放送 
和歌山放送 報道制作部 柘植 義信

【番組概要】
和歌山県の北部高野山の麓、かつらぎ町天野地区にある丹生都比売神社は世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道の一つとして登録されている。高野山の開祖弘法大師が2匹の犬に導かれ高野山にたどり着いたという導きの伝説にちなんだ神社。高野山と神社の関係は深い。今年は戌年。昨年末一匹の紀州犬が御神犬として神社に奉納された。名前はすずひめ号。1歳の雌犬。毎月16日の祭礼には神殿で祈祷を受け、参拝者の前に姿を現す人気者。神社をPRするシンボルになった。世界遺産に登録されるまでは交通の便の悪い山里でもあり、参拝客もまばらだったが最近は周辺の自然環境とともに良さが見直されて参拝客も増えてきた。このブームを一過性に終わらすのではなく、導き伝説にあやかり、広く世界遺産をPRしたいと神社や地元の人はすずひめ号は活躍に期待を寄せる。番組では、すずひめ号の活躍や、関係者の取り組みを紹介しながら、寛容な世の中と人々の心のあり方について探る。

【制作意図】
紀伊山地の霊場と参詣道という世界遺産は、一つの寺院や地域にこだわったものでなく、紀伊半島の多くの部分を占める広大なものだ。特に、高野山と麓の丹生都比売神社との関係は、神道と仏教という別々の宗教認め合う存在になっていて、独自の文化を構築している。自らの考えと反する意見を認めないといった風潮や世界観が今日特にクローズアップされている。こうした動きに反して1000年以上前からこの地域では、寛容の精神が根付いて文化を形成してきた。番組に登場する紀州犬すずひめ号の活躍を通してこうした精神文化を知ってもらい、広く平和や寛容な世の中を考える一助になることを目的としている。

【制作後記】
この御神犬すずひめ号の起用を考えた、丹生都比売神社の丹生晃市宮司は世界遺産登録の前からこの神社にやって来た。地元で紀州犬を育てている日本犬保存会会員の豊岡由行さんの協力で御神犬をシンボルにしたいと考えた。いろいろな災難から身を守るという女神を祭る神社と雌犬の御神犬の融合。1980年代後半から麓の九度山町から高野山まで道案内をするゴンという名物の犬がいたが、今回のすずひめ号の登場で、ゴンの存在も改めてクローズアップされ、導き犬伝説が定着するのではと丹生宮司は期待を寄せている。対立やぎすぎすしたことが後を絶たない今の世の中で、古くから紀伊半島にある「世界遺産」が融和と寛容の文化を発信していたことを改めて感じた。山々の自然に囲まれた山里の神社から蘇りと癒しの文化がさらに発信できればと思い、地元の放送局としてもその取り組みに寄与していきたい。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/563083/34120131

世界遺産をPR 御神犬 すずひめ号を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

ブログ powered by TypePad