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2015年4月 7日 (火)

島原半島に息づく「のぞきからくり」

2015年4月6日~2015年4月12日放送
長崎放送 ラジオ局制作部 藤井真理子


【番組概要】
鎖国時代、西洋の文化が長崎を経由して全国に広がってゆきました。ビードロ(ガラス)製品の「レンズ」もその一つ。そのレンズを使った大衆娯楽が「のぞきからくり」です。レンズをはめ込んだ穴の向こうに広がる極彩色の別世界と独特の「口上」は人々を魅了し、昭和初期までは日本各地で見ることができました。しかし戦後は急速に廃れ、残された屋台装置や工場を伝える人もごくわずかです。雲仙普賢岳のふもと、有明海に面した南島原市深江町。ここには江戸時代から伝わる屋台と口上を残すために活動を続けている「のぞきからくり保存会」があります。メンバーはわずかに8人。会長は尾ノ上範男(おのうえのりお)さん76歳。番組では「のぞきからくり」独特の口上、そして保存にかける思いをご紹介します。

【制作意図】
「のぞきからくり」の魅力は次々に替わる極彩色の「絵」と、からくり屋台を操作し、手に持った棒で拍子をとりながら演じられる「口上」です。独特の旋律にのせ語られる「地獄」の世界や悲恋物語。その不思議な魅力を、敢えてラジオの音の世界で伝えたいと考え取材を始めました。また、西洋文化の入口であった長崎市内には残っていない「のぞきからくり」が、人口7800人の小さな町、南島原市深江町で伝え残されていることは少なからず驚きであり、その活動と思いをぜひ紹介したいと考えました。

【制作後記】
演目は昔から継承されているものはほとんどですが、尾ノ上会長が作った「平成新山物語」は、雲仙普賢岳災害と、その後の復興に向かう人々の姿を描いた新作。地域の行事をはじめ、県の内外、さらには地元の小中学校でも演じられています。番組内で若手メンバーとして登場する細波和歌子(さいはわかこ)さんも中学生の時、授業の一環で「のぞきからくり」に触れ、その魅力を知り保存会に飛び込んだのでした。とはいえ、細波さんを除けば、メンバーのほとんどが年配者。次の若手育成が望まれます。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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