自然と挑戦の道 村山そば街道
2012年11月12日~11月18日放送
山形放送 報道制作局 制作部 大久保円
「秋新(あきしん)」と地元で呼ぶ新蕎麦の季節に、そば屋のそば粉作りの過程を伝えます。
山形県村山市でそば屋を営む芦野又三さんは、昔ながらの方法で蕎麦を作ります。
80歳になる又三さんは畑の蕎麦の実をどのようにしての蕎麦粉にするのか、手作業の合間に科学者のような表情で丁寧に説明してくれました。そして、思いもよらない蕎麦作りの訳と熱い思いも喋ってくれました。
村山市は山形県内陸部にある、田んぼや果樹、ソバ畑が広がる盆地。市の中央を最上川が流れます。川幅は50メートルから100メートル、流れは急で川底の岩盤がむき出しになった最上川舟運時代の三つの難所があります。その川沿いにそば屋が幾つも点在しています。「最上川三難所そば街道」です。
又三さんの店は、そば街道の十四番目のそば屋「あらきそば」。
出す蕎麦は「板蕎麦(もりそば)」一種だけ。その蕎麦はつるつるっとすするには大変な太さ、「超極太生粉打ち」と呼ばれるつなぎ無しの十割そばです。
「あらきそば」は山村農家の慎ましい生活がそのまま店になっています。茅葺き屋根、中に入ると自在鉤に鉄瓶の囲炉裏、てかてかの柱は荒削りの栗の木、野郎畳の座敷に裸電球がぶら下がり、ちゃぶ台で蕎麦を食べます。畳に座り、見上げるとねじ式の柱時計と箱型ラジオ、おそらく今は鳴らない真空管式のラジオ受信機は昔どんな番組を流していたのでしょうか。
粉作りの取材を終え、番組では伝えきれないことがたくさんあります。
実ひと粒ひと粒を蕎麦にするのは、これほど大変なのかと・・・・。
蕎麦の作り手は二代目の芦野又三さんと三代目の光さん、四代目の浩平さんほか家族総出で蕎麦を作っています。蕎麦作りは重労働、家族で役割を分担しながら進めます。その家族の顔と表情がとてもいいんです。
ぜひ、「秋新」を食べてみて下さい。薫り高い新蕎麦です。
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