92才のキミ婆ちゃん 切符の手売り50年
山口放送 ラジオ制作部 大谷 陽子
山口県宇部市。JR宇部線の草江駅は、駅員もいない、切符の自動販売機も無い、無人駅です。駅には、こんな掲示があります。『切符は、駅前の西村商店でお買い求めください。』
駅前の小さな商店で、50年以上にわたって切符の委託販売をしているのは、西村キミさん、92歳です。始発電車が来る朝5時から、日曜も定休日もなくお店を開けています。駄菓子や食料品、日用品などを扱って50年以上。1人でお店を切り盛りしてきました。
お店には、老若男女、ポツリポツリといろんな人がやってきます。100円を握りしめてくる近所の子ども。出勤前と後には必ず立ち寄る若者。毎日のようにやってくるお年寄り…。それは、駅前という場所だからだけでなく、50年以上変わらずお店に座っているキミ婆ちゃんがいるからです。初めてのお客さんが来ても、キミさんは必ず言葉をかけます。そこには、切符の手売りとともに、温もりがあります。
「お昼寝をしたくなりしませんか?」そんな質問に、「それもええけど、癖になるから。働かんにゃ、バチが当たる。」と、休む間もなくお店に出ます。激動の時代を生きてこられた女性の強さとたおやかさを教えていただきました。