里山にも優しい 竹で作ったスピーカー
和歌山放送 報道制作局編成制作部 花井 歩高
2月下旬。温かい和歌山市内では26年ぶりという積雪を観測した。
交通が混乱する中、鉄道の遅れの原因の多くが「倒竹の影響」という。そんなに沿線に竹が茂っていただろうか。疑問がわいた。
そんなとき、竹で作ったスピーカーづくりに取り組む人たちのことを思いだした。竹スピーカー。
最初聞いたときは、手作り志向の、ちょっとした「お遊び」的なものかと思った。実際に聞き、その音色に驚いた。ジャズライブのトランペットやヴォーカル。それぞれがまるでここにいるかのように響く。無指向性のそれは部屋のどこにいても心地よい響きを得られるという。
和歌山市で電器店を営む梅田寛さんは、かつてオーディオメーカーでスピーカーの設計をしていた。2年前に友人とともに竹林整備を手伝った際、「何か使えないか」とスピーカーづくりを思いついたという。
その後、オーディオ愛好家らとともに競うように改良を重ねてきた。
最新機が発する音は「当初は考えられなかった領域に来た」そうだ。
取り組みが知られるにつれ、愛好家だけでなく、竹林の所有者らも竹スピーカーづくりの輪に加わるようになった。里山保全を前面に出すほどには取り組んではいないと謙遜する梅田さん。その取り組みは静かだが着実に広がりを見せている。