元旦初打ち”音に聞く鍛冶場の力”
福井放送 ラジオセンター 越桐 清司
福井県越前市の山あいに位置する余川町は、700年の歴史を持つ、越前打刃物の産地です。
ここでは毎年元旦の午前零時から初打ちの行事が開かれています。
白装束の鍛冶職人たちが赤々と燃えた鉄の棒を大きな金槌で打ち形を整えていきます。親方が打ち、子方が相槌を打つという作業は、動力がなかった時代の古式ゆかしい伝統的なものです。
日本各地に多く存在していた鍛冶職人は、刃物の大量生産と農業の機械化によって昭和30年代から激減しました。
文部省唱歌として愛唱されていた「村のかじや」も昭和60年に音楽の教科書から姿を消しました。
今では元旦にしか聞くことのできなくなった昔懐かしい鍛冶の音は、観光に訪れた人たちを魅了しています。雪が深々降りつもる中、行われている越前打刃物の初打ちは地区の名工達が伝えている、
冬の風物誌です。