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2021年7月13日 (火)

朝に咲かせる花かつお~4代目とカンナの響き~

2021年7月19日~2021年7月25日放送 
熊本放送 ラジオ制作部 上妻卓実

【番組概要】
熊本城築城当時から商人・職人の町として栄えた熊本市の新町・古町エリア。老舗が残るこの地区で100年以上鰹節を削り続けているのが「松魚村平」。こだわりは、削り立てのみを販売することです。日本料理で、出し汁、香りづけ、盛り付け、さらには舌触りに至るまで、食べた人の印象に幅広く影響を及ぼす、まさに料理の要。鰹節は削ったその瞬間から酸化が始まり、味、香り、色が徐々に劣化します。乾物の中では珍しい、鮮度が命の食材です。商売の主流は大量生産と効率化へと進む中、今もなお、早朝から節を削り、飲食店へ配達。番組では、削り置きは絶対にしない、そんな断固とした決意を持ち続けながら伝統を受け継ぐ「松魚村平」と4代目店主の嶋村誠二郎さんの人柄に迫りました。

【制作意図】
鰹節を削るといえば、「シュッシュ」というカンナの上を滑らせる音を想像するのが一般的ではないでしょうか。しかし、松魚村平では代々、専用の機械で節を削ってきました。削られた花かつおは驚くほど薄く、鮮やかな桜色です。しかし、夜になると機械的な音とはまた別の音が響きます。それは、4代目が機械の細かい調整をするために刃を叩く音。手の感触を頼りに繰り返される音からは職人としての気概と看板を背負う責任を感じます。料理を味わう人を笑顔にしたい。4代目が夜な夜な一人でカンナに向き合い、先代から受け継いだ業はこれから先も多くの笑顔を咲かせてくれるでしょう。

【制作後記】
カンナには14枚の刃がついていて、一つ一つ手作業でズレを治していきます。根気のいる作業です。実は、作業の前に「これば全部手入れするとなると、たいぎゃ時間かかるけん、まず数枚やってみようかね」と一言。しかし、いざ収録が始まると「1番・・・7番・・・よし!これで14枚!」気づけば止まることなくカンナを叩く誠二郎さん。真剣な表情の中にも、どこか柔らかみのある眼差しがカンナに向けられます。伝統を守り、受け継ぐ職人の気質、人柄を感じてもらえたら嬉しいです。

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半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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