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2018年10月 4日 (木)

「うちのが一番!」城下町つなぐ豆腐屋おやじ

2018年10月8日~2018年10月14日放送 
北陸放送 竹村りゑ

【番組概要】
舞台は、ひがし茶屋街。石川県金沢市に観光に来た人ならば、おそらく全員が訪れるのではないかと思われる金沢屈指の観光地です。江戸時代に加賀藩前田家のお膝元で栄え、今でも当時のままの町屋や美しい石畳が続き、風情ある風景をカメラを手に散策を楽しむ観光客も多くみられるという、「非日常」を感じさせるところです。土産物屋などが立ち並ぶ街並みを背景にリヤカーをひく「高山とうふ店」の 高山こういちさんは、一見、観光客向けのパフォーマンスにも見えるのですが、その実50年近くひがし茶屋街で引き売りを続ける、地元密着型の豆腐屋です。足の悪いおばあちゃんを労わり、町の子どもたちに慕われ、通りを歩けば次々に声を掛けられるという生活を長年続けてきた方です。
「非日常」の町の中で、「日常」を送る人の姿を見せるため、高山さんの一日をたどる形にし、引き売りの道中で出会う人々との会話を伝えています。

【制作意図】
2015年の北陸新幹線の開通により、石川県は今までになく大きな変化の時を迎えています。世界中から大勢の観光客を迎えることで、どんどん洗練された表情になっていく町。それは喜ばしいことのようで、どこか一抹の寂しさを感じさせるときもあります。だからこそ、日に日に華やかさを増す町の中で、昔から変わらない当たり前の生活を送る、当たり前の人がいることを今一度確かめたいという思いから、取材を始めました。父親の代から続く豆腐店を受け継ぎ、町の人に愛されながら50年近く豆腐屋を営み続けてきた高山さんは、その点で主人公になっていただくのにぴったりの方でした。日常感が大切だと思っていたので、リヤカーを押しながらつく高山さんの溜め息や、お客さんのちょっとした呟き、長年使われてきた古い機械がたてる優しい音など、音声に載るかどうかギリギリなものも、できる限り録音しようという気持ちで収録に挑みました。

【制作後記】
今までのアナウンス人生で、ラジオ番組を制作するという経験はほとんどしてきませんでした。「初めてだから、まずは短めのものを」ということで、最初は3分間のリポートを想定して取材を始めたのですが…豆腐屋の高山さんや妻の和子さんとお喋りをするうちに、その温かさや素朴さに、人としての「正しさ」や「美しさ」を感じ、すっかりお二人のことが大好きになってしまいました。3分間では零れてしまうエピソードや言葉がどうにも愛らしくて、なんとか世の中に出したいという思いから、およそ6分半のリポートに挑戦したのが今作品です。制作者として一番気に入っているのは、観光客と高山さんの会話の様子です。金沢の良さを持ちながら、しなやかに変化を受け入れる「これからの金沢の目指すところ」を象徴したシーンだと思っています。

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