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2002年11月11日 (月)

広がれ けん玉の響き

中国放送 ラジオ局ラジオ制作部 延藤 靖

けん玉は、誰もが一度は試したことがある遊びです。でも、その由来はあまり広く知られていません。実は、いまのけん玉の形は広島県にルーツがあるのです。
大正時代廿日市市という町でいまのけん玉が生まれました。 

そのせいか、広島市は昔からけん玉が盛んです。特に熱心な指導者が多く、その一人、広島市に住む今田弘武さん(56歳、日本けん玉協会認定八段)は、みんなからけん玉名人と呼ばれています。仕事づとめのかたわら、休みの日には学校や公民館を訪れ、子供たちにけん玉の楽しさを教えています。

教えた子供の中には、去年と今年の全国大会でV2を果たした小学生もいるほどです。「けん玉は失敗の連続。だからこそ、できるようになった時の喜びを味わってもらいたい」それが今田さんの強い思いです。
広島では、けん玉の試合や大会も盛んです。10月20日に開かれた「廿日市市けん玉道選手大会」には、県の内外から70人が参加しました。

もともとけん玉は、オランダから伝わったとも、中国からとも言われていますが、いまより少し細くロウソクたてのような形でした。大正7年、広島県呉市に住んでいた江草濱次という人物がいまの形を考案し、昔から木工業の盛んな廿日市で製造されるようになりました。

父親の代からけん玉づくりを受け継ぐ西村保宣さん(65歳)は、昭和40年代には、毎日1000個近くを作っていたそうです。
今田さんたちの」熱意が実り、今では体育の授業として小学生や大学でもけん玉が教えらています。いまのけん玉が誕生して、すでに80年余り…。

広島の街には、今日もその響きがこだましています。
《制作意図》
けん玉発祥の地である広島県には、その長い歩みがあり、また、けん玉を人間形成に生かそうと熱心に取り組む人々がいます。単なるこどもの遊び、おもちゃというイメージを越えて、その音色が響いていることを伝えられたらと思っています。
《こぼれ話し》
けん玉大会の取材には、別の会場(10月13日)にも出かけましたが、これは不発に終わりました。会場が屋外だったので、けん玉が響かず、ほとんど音が拾えなかったのです。けん玉の録音は、やはり室内に限ります(笑)。

半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組。全国の放送局がその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介します。

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