隣る人
この1週間、事務局のPCに色々不具合が生じ、全くブログを更新できませんでした。
ということで3連休中ですがちょっとご報告を。
とあるドキュメンタリー映画好きの方にお奨めいただき、先日ギリギリ駆け込みで
最終上映回を観て参りました。
『隣る人(となるひと)』
「光のこどもの家」という児童養護施設を8年にわたり取材したドキュメンタリー映画です。
効果音、ナレーション、テロップもBGMも一切なし。
朝ご飯の支度から学校へと見送り、帰宅を出迎え、宿題をみて、晩ご飯、風呂、そして本を読んであげる。
そこには普通の家庭とさほど変わらない日常の繰り返しがありました。
ただ、愛情深く見守り育てる大人と世話をされる子供に血のつながりはありません。
「担当責任制」を敷いて、担当となった子供を同じ大人が責任を持って育て、それを周囲がフォローする
という画期的な養育方法を世に先駆けて実践してこられた施設なのです。
最終上映会ということで、この作品が初監督となる刀川監督と、映画にも出演されている
施設長(現理事長)のお二人の舞台挨拶を伺うことができました。
特にこの理事長の言葉が忘れられません。
「国の基準も30年経って改善され、職員の労働条件も格段に良くなってきた。でも国の基準で子供を
育てられる訳がない。保育士の労働時間8時間を守るために3交替でなんて、子供の生活を輪切りにすること
なんて出来ない」
親の、子供に対する愛など無償なものだと思っていました。
でもこの施設の保育士達は全員独身で、全身全霊で子供達を世話しています。
家族ってなんだろう?親ってなんだろう?
タイトルの「隣る人」とは、理事長が考えた造語で、
子供にとって、ただ傍にいて自分の全存在を受け止めてくれる人、の意味だそうです。
理事長は続けます。
子供達が成長し自立して出ていった後もやって来て一緒にビールを酌み交わす時間が
最良の時間だと。
「いつの間にか”隣る人”のはずが、”隣られる人”になっていたんですね」とぐっとされる。
管理人はずっと涙が溢れて止まりませんでした。
東京での上映は一旦終了しましたが、今後全国各地ミニシアターで上映される他、
自主上映会もできるそうです。
つい先日2012年度の文化庁映画賞・文化記録映画部門の大賞に選ばれたそうなので
また上映もされるかも知れませんね。
『全米が泣く』ような映画ではありませんが、この作品に出会えて本当に良かったと思います。
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