受け継ぐ心~出会いの虫送り~
2023年8月7日~2023年8月13日放送
北陸放送 ラジオ開発局 中川留美
【番組概要】
多種多様な農薬がなかった時代、農作物を害虫の被害から守るために行われてきた伝統行事に「虫送り」があります。虫送りは稲の害虫退治だけでなく、集落内のケガレや悪霊を追い払うという心意的な意味も持つとも言われています。こうした虫送りは、全国各地でも見られますが、多くの場合、集落ごとに分かれ、それぞれの区域で別々に行われます。しかし、石川県七尾市中島町小牧地区では、お隣の地区と合流して行っていて、「出会いの虫送り」と呼ばれています。先人から受け継いできた「虫送り」を次の世代へ繋げていきたい思いはあるものの、集落の高齢化、過疎化のため、虫送りの担い手不足の問題も抱えています。虫送りを続けることを難しく、負担に感じていましたが、20年前から「虫送りサポーター」という取り組みを行い、集落の外の人々の力を借りることで虫送りを続ける思いを取材しました。
【制作意図】
昔から残されてきたものを大切に受け継ぎ残していきたいという思いはあるものの、続けていくには、人々の協力がなくては続けることが難しいということがあります。さらに集落の行事となると、集落以外の人が行事に参加するということに抵抗があるのではないか考えてしまいますが、石川県七尾市中島町小牧地区では、20年間、「虫送りサポーター」という取り組みを行っています。「虫送り」の様子から見えてくる伝統行事を受け継ぐ人々の気持ち、支え合う姿を伝えたいと思いました。
【制作後記】
「やっぱり、虫送りが好きなんですよ。」取材中、虫送りサポーターのお世話役が言った言葉が、とても印象的でした。「好き」という思いが、伝統行事を続ける原動力になっている。生まれ育った場所が好きで、祭りが好きで、そういう思いをもった人たちが繋がっている。伝統行事を守る大変さの中にも、それを越えるような受け継いでいくための原動力を感じました。
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