収録裏話その2
和やかな打ち合わせから、台本を読み込む希林さん。
さらっと一度読まれると
「じゃ、やりましょうか」
スタジオに入った瞬間、ピリッとした空気が生まれ
空調とマイクの位置を細かく指示される。
表情が引き締まる。
台本を書かれた放送作家の先生、
そしてスタッフがサブ(副調整室)に入りスタンバイ。
ディレクターI氏も緊張感と共に希林さんの合図を待つ。
「あら亀さん、いらっしゃい」
冒頭のセリフひと言でスーーーーっとスタジオが一瞬で神田・神保町のレコード屋さんになる。
どんどんおかみさんの世界に引き込まれる。
何十回も台本を読み込まれたかのようにどんどん希林さんは読んでいく。
時々セリフに腑が落ちないと「これはどういう意味?」と必ず確認し
納得されるとご自分のものとなりまた進行していく。
順調な収録。
予定よりもかなり早く進み、後半に入ってくるとふと希林さん。
「あたし言ってなかったけど、実は神田・神保町の生まれなのよねぇ」
一同驚愕!!
えっ!?
「両親が神保町すずらん通りでカフェーをやってたのよ、だからおかみさんとうちの親は面識があったかも知れないわね」
だから最初の打ち合わせの時に「すずらん通りにどの辺にあったのか」を
お尋ねだったんですね。
希林さんのご両親は「東宝」という名前のカフェを経営されていたそうなのです。
あまりの符号に言葉が出ないでいると
「だからこのお仕事のお話が来た時、あぁあたしはこのお仕事やるんだな、ってご縁を感じたのよ」
そこからはスタジオの希林さんもサブのスタッフも
空気がまた変わって夏のせいだけでない「熱」を感じました。
そして希林さんのアドリブでエンディングのセリフが少し変わりました。
希林さんご自身の言葉でいただいた、素晴らしいセリフ、是非オンエアで
聴いてみてくださいね。
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